AAA−本音のアドバイス…目次
無認可共済の保険会社化について − その10少額短期保険業者 《少額短期保険業者》は、新たに保険業法に規定された保険業者の新しい形です。
名前は少額短期保険業者ですが、その実体は少額・短期・掛捨て・小規模の4つで特徴づけられます。(図5参照)
このように保険金額も少額だし短期で掛捨てなので資産運用リスクもあまり大きくなく、全体としての事業規模も制限されているので、この少額短期保険業者の事業リスク(あるいは経営破綻リスク)はかなり限定されたものになります。
そのため最低資本金も1,000万円と、保険会社の場合の1/100になっています(保険会社の最低資本金は10億円です)。コストを軽減するため、保険契約者保護機構にも参加しません。その代わり1,000万円+収入保険料の5%の額の供託金が必要になります。また最低資本金と同額の最低自己資本の維持が必要になります。
要するに貯蓄性の商品を扱わず、資産運用も預貯金と国債等の安全な資産しか持てないため、以前バタバタと潰れた生保会社のように資産運用で穴があく事はないだろうし、保険料が適正に定められていれば、多少一時的に保険金の支払いが増えたとしてもそれ以上穴が大きくなることもないだろう。一時的にあいた穴は自己資本とか供託金で穴埋めすれば、殆ど埋めることができる程度のものだろう、というくらいの考え方です。
保険期間も長くて1年(損保は2年)ですから、その間だけ生き延びれば保険料を引き上げたりして、何とか経営を建て直すことができるだろうということです。
ソルベンシーマージン比率についても、保険会社と同様の計算式で同水準のものが要請されます。
この少額短期保険業者は無認可共済の受け皿として新設されたものですので、無認可共済からの移行をスムースにするため、生・損保兼営(一つの会社で両方の商品あるいは組み合わせた商品を販売すること)ができます。
とはいえ、少額短期保険業者は無認可共済の受け皿専用ではありませんので、全く新規に少額短期保険業者を設立し保険事業を始めることも可能です。今から新たに保険事業を始めるのだけれど、当面は小規模で少額短期保険業者の範囲内の商品でも構わないということであれば、まさにぴったりの制度です。
人数規模が小さ過ぎて特定保険業者になり損なった無認可共済が、人数規模を拡大してそのまま事業を続ける場合にも、この少額短期保険業者という制度を使うことができます。
少額短期保険業者の登録 保険会社として営業するには免許が必要ですが、少額短期保険業者の場合は《登録》という手続きになっています。《免許》より《登録》の方が若干軽そうですが、その登録のための手続きは保険会社の免許申請とほぼ同様なものとなっているようです。
少額短期保険業者では保険計理人の選任が必要になります。商品の収益性や会社としての財務の健全性については保険計理人の意見書による確認作業が重視され、金融庁・財務局では決算時の事後チェックにより保険計理人の確認作業の内容の検証が行なわれるという形を取り、保険会社の場合の事前チェックと比べて金融庁・財務局の負担を軽くしています。
保険会社の場合は金融庁が一から十まで事細かく審査した上で免許を交付しますから、もし何かあったら免許を出した金融庁が責任を問われます。少額短期保険業者に対していちいちそんなことをしていられないので、それぞれの少額短期保険業者に保険計理人を選任させ、その保険計理人に「意見書」という形で連帯責任の保証書を出させることによって、少額短期保険業者の登録を受付けてしまって、あとから何かあった時もその保険計理人に責任をかぶせるという仕組みです。
保険計理人は責任重大です。その重大な責任に見合った報酬を払って常勤の保険計理人を雇おうとすると、規模の小さい少額短期保険業者にとってはとんでもないコストになります。
また現実に全ての少額短期保険業者に行き渡るだけの保険計理人が存在するかという根本的な問題もあります。そのため少額短期保険業者の保険計理人は必ずしも常勤でなくても良いということになっていて、外部のアクチュアリーに業務委託するケースが多くなるだろうと思います。
アクチュアリーにとってはビジネスの幅を広げる絶好のチャンスなのですが、リスクも大きいので今の所この分野に積極的に飛び込んで行こうというアクチュアリーはそれほど多くはないようです。
ともかくこの少額短期保険業者の登録というのは、やはり保険会社の免許申請に準ずるものですから、大量の書類をもとに何度ものヒヤリングを通して登録申請の内容が審査されることになります。
保険会社の運営や保険商品の細かい点もきちんと説明しなければならないので、そのあたりを良くわかっている経験者にアドバイスを求めると良いと思います。
無認可共済の保険会社化について−その1
無認可共済の保険会社化について−その2
無認可共済の保険会社化について−その3
無認可共済の保険会社化について−その4
無認可共済の保険会社化について−その5
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無認可共済の保険会社化について−その16
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