賃貸管理会社の家賃保証は「保険の引受け」…保険業法で規制 アパート貸主から不動産の賃貸管理会社が管理を受託します。
ある賃貸管理会社は家賃の5%で、建物維持管理、契約管理、入居者斡旋の業務をします。
またアパート貸主から「賃料保証」もしてくれとの要望には、家賃の10%で「賃料保証」もします。業務受託から何日かしても入居者が決まらなければ、入居者が入るまでは本来の家賃の例えば90%を保証するのです。
この家賃保証が「保険」引受けとして保険業法の規制対象になりました。一定規模以上での家賃保証を行うには、最終的には「保険会社」か「ミニ保険会社(少額短期保険業者)」にならないといけません。そうでなくては保険業法違反となります。
「家賃保証」は「保険」か? かつての保険業法の規制対象は「不特定」の者を対象とした保険だけでした。「特定」の者だけが対象なら規制対象外。特定の建設会社の顧客だけを対象としていれば、最初から保険業法の対象外と言われてきました。
改正保険業法が2006年4月に施行されました。いわゆる「無認可共済」規制のために、「特定」の者を対象にする保険も保険業法の規制対象となりました。
そして「家賃保証」が保険なのか違うのか、議論されました。
金融庁は「保険」だとの明確な結論をだしました。大東建託株式会社からの文書照会に対して2006年4月6日に回答(ノーアクションレター)しました。以下回答をそのまま引用します。
「保険業法第2条第1項によれば、『一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険』の引受けを行う事業が『保険業』に該当するものとされている。
これに照らすと、照会のあった事例は、照会者が家主より管理費として一定の金員を収受し、対象となる建物について、空室が発生し照会者が入居者斡旋活動を始めてから15日間が経過しても次の入居者との賃貸契約が開始しない場合に家賃の9割相当額を、あるいは空室が発生した場合に全額相当額を金銭給付することを約定するものである。また、空室の発生やその解消は、従前の入居者が退去するか、新しい入居希望者が現れるかという契約締結時に契約者双方にとって確定されていない事由によって生じるものであり、かつ照会者の建物維持管理業務や入居者斡旋業務によりその結果を完全に回避することは困難なものといえる。
以上より照会のあった事例は『一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険』の引受けを行う事業に該当すると考えられ、同項にいう『保険業』に該当しないとは言えないものと認められる。」
「保険」に該当と明確に答えました。実は、照会者は様々な視点から「家賃保証」は「保険」でないと主張していました。
保険は偶然の事故が対象のはず。空室は管理や入居者斡旋の結果として生じるもので、偶然の事故でないから保険ではない。
家賃保証は保険数理等とは無縁でありそもそも保険ではない。
家賃保証は建設不動産事業という本業に組み込まれたものであるのだから、これは保険の引き受けではない。
しかし金融庁側は、これら主張に関わらず「保険の引受けに該当する」と断じたのです。
保険業法違反を回避するには
引受け相手(貸主数)1000人以下等(例外あり)の小規模なら規制対象外ですが、1000人越えた時点で保険業法規制となります。
すでに1000人を越えており家賃保証業務を継続するには、通常ならば、2006年10月までに経過措置の届出をします。そうすれば2008年3月までの新規引受け受託と、2009年3月限りの業務継続ができます。
しかしその後の業務継続にはは金融庁の管轄下で、保険会社かミニ保険会社にならなくてはいけません。そうすると様々な規制を受けることになります。
(バードレポート 2006年6月12日 第596号)
どのような家賃保証が保険業法の規制対象か 賃貸管理業の一部が保険業法の規制対象になります。
不動産賃貸管理会社によるアパート等の管理についての、いわゆる「家賃保証」には二種類あります。
ひとつはサブリースです。サブリース(借り上げ)は家主と賃貸管理会社との間の単なる建物賃貸借契約ですから保険業法規制の対象外なのは当然です。
もうひとつは、借り上げではなく、空室発生時における賃貸管理会社による一定の賃料補填を定めた建物管理業務委託契約です。保険業法の規制対象となるのは、この賃料補填での「家賃保証」です。引受け相手(家主数)1000人超なら規制対象です。
なお、バードレポートで取り上げた大東建託株式会社による金融庁に対する照会は、建物管理の委託契約と別途に行う空室保証共済制度についての照会ではありません。管理委託契約と別途に行う空室保証共済契約ならば当然に保険業法の対象でしょう。
今回の照会と回答は、建物管理業務委託契約に織り込まれた契約、つまり賃貸建物管理業務と一体不可分の建物管理業務委託契約についてです。つまり共済制度としでなく、賃貸建物についての賃料補填条項付の管理委託がテーマになっています。
賃貸管理業の方はこの照会と回答を原文でご確認なさって下さい。 金融庁のホームページ「法令解釈に係る照会」→「保険業法」→整理番号5番
なお改正保険業法の施行について不動産関連でも様々な動きがあります。レオバレス21はオーナー共済会について「株式会社損保レオバレス(仮称)」に移行します。(週刊住宅2006.6.21.)。
また賃貸住宅向け火災共済の日本厚生共済会、不動産の滞納家賃保証のリプラスはそれぞれ損害保険会社設立の方向です。(共済と保険2006.5月号)
無認可共済の保険会社化について−その1
無認可共済の保険会社化について−その2
無認可共済の保険会社化について−その3
無認可共済の保険会社化について−その4
無認可共済の保険会社化について−その5
無認可共済の保険会社化について−その6
無認可共済の保険会社化について−その7
無認可共済の保険会社化について−その8
無認可共済の保険会社化について−その9
無認可共済の保険会社化について−その10
無認可共済
保険業法改正…共済
保険業法改正…少額短期保険業者
保険業法改正…特定短期保険業者
少額短期保険業者と保険会社
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