節税スキームに対する税務調査

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節税スキームに対する税務調査



その節税提案の心配…節税スキームに対する税務調査

税務調査の現場から



当サイトの管理人は税理士です。こんな現場を経験しています。
いずれも考え方としては生命保険スキームの節税封じと近いものです。すなわち一定の同じ節税スキームを否認するときはどうなるか。ただ生命保険は件数も多く、またこれらは生命保険協会のような圧力団体がいない場合ですので現場でピシャリとやられてしまっています。なので生命保険ならここまで厳しくはなくもう少し甘いようにも思えますが…。


(1)映画フィルム投資節税

公開される映画フィルムのファンドに投資します。10億円としましょう。数年かけて回収します。でもフィルムの減価償却期間は2年です。10億円をわずか2年で損金にしてしまいます。とてつもない法人税の節税ができます。法人税法やその通達によればまったく問題ないはずでした。また公認会計士による「問題なし」との意見書まで付いています。

でも国税庁はこんな節税を心地よく思いません。理屈をつけて(それが本当に投資なのかそれとも貸付なのかといった論点でしたが)、税務否認します。

ファンドの胴元会社の税務調査をすれば映画フィルム投資した会社のリストを入手できます。そして投資した全会社に税務調査に入ります。

そんな税務調査に入られた会社に頼まれ、途中から税務調査で国税と交渉することになりました。節税額は10億円単位でした。

地元の税務署からの調査ではなく地元の税務署と一緒に国税局が調査にやってきました。でも意外や意外、厳しい調査ではありません。こちらは積極的に議論と交渉に挑みましたが、暖簾に腕押し。厳しい言葉もでてきません。そういう意味で厳しくない調査でした。
つまりもう税務否認することが決定済みなので話し合いにも応じず、淡々と事務手続きとして課税処分をしていっただけでした。国税局の税務調査の現場の責任者の言った言葉が印象的でした。

「私は単なるメッセンジャーです。上が決めたことですから交渉の余地はありません。やるなら国税不服審判所と裁判所で争ってください。」。まさに暖簾に腕押し。

国税サイドとして税務否認する方針を決めたから交渉の余地はないということです。
その会社は多額の課税処分をきっかけに資金繰りに窮し破綻しました。

「上が決めたこと」は保険商品の制度としての節税否認と同じです。暖簾に腕押しで問答無用の税務否認になります。



(2)ワンルームマンション投資

「ワンルームマンションを買って賃貸にすれば支払利息と建物の減価償却費で不動産所得が赤字になりますので所得税が還付されます。節税のためにワンルームマンションを買いましょう。」というのは今もある節税手法です。

一部借入金について経費にしないという節税封じはありましたが今も有効です。これは所有資産を第三者に賃貸すれば金利も減価償却も発生するから税務の計算上では赤字になっても当然という考えです。賃貸業を行えって税務で計算したら結果的に赤字になるだけです。税理士の判断としては当然のことで否認などされるものではありません。

ある東京のワンルームマンション販売会社がこんなセールストークで地方で東京のワンルームマンションを売りまくりました。

「お子さんが東京で学生生活等でアパートを借りて家賃を払うのなら、当社のワンルームマンションを買ってそこに住まわせませんか。家賃をもらって賃貸したことにして節税をしましょう。」

「賃貸した」ならいいでしょうが、「賃貸したことにした」は「賃貸した」とは天と地ほど違います。事実と異なる偽装工作ですから。

全国で幾多の親御さんがこのセールストークに乗ってワンルームマンションを買って子供から家賃をもらったことにして確定申告をして税金の還付をうけました。

国税局はこのワンルームマンション会社に税務調査に入りました。そこで顧客リストがすべて国税局に渡りました。

全国の親御さんに対して一軒一軒立ち入って課税処分をしました。「賃貸をしたのではなく賃貸したことにした」のでしょう…と。

あるお子さん側から相談をうけました。「私はちゃんと家賃を親に払っている」のに。親御さんは地方にお住まいの普通の会社員です。

「賃貸したことにした」人が課税処分されるのは当然です。このお子さんのケースは「賃貸した」でした。税理士としての検討したならこれが否認されるのはおかしい。説明すれば分かってもらえるだろう。そのお子さんがアルバイトながらちゃんと収入があること、過去の支払い経緯、賃貸借の状況その他証拠をつけて親御さんの(ずっと遠方でした)税務署の責任者と電話で厳しくやりあいました。税理士としての私は「事実なのだから負けるはずはない」と思っていました。

その遠隔地の税務署の責任者も困っていたようです。理屈でやってくる東京のヘンな税理士から理屈と資料とで突然攻め込まれてたのですから。

そこでも「私の立場では課税処分をするしかないのです。上で決まったことですから。」

そして驚いたのは、そのお子さんのアルバイト先に税務調査が入ったことです。困った遠隔地の税務署が東京の税務署に税務調査を依頼してきたのです。何を調べたか「本当にそのお子さんがアルバイトをしていて給料を受け取ったか」でした。これは予想外でした。「そこまでやるか」。いやがらせなのか。

お子さんは、社長から呼び出されて「なんでアンタのためにうちの会社に税務調査にはいられなくてはいけないのか」。

それだけが理由ではなかったのですが、大きな金額ではなかったこともあり、親御さんは「もういいですから」。完敗でした。悔しかった。お礼にと、お酒を2本頂いたのですが、苦い酒でした。



節税スキームに対する税務調査とはこういうものなのです。事実がどうだから…といった普通の税務調査の常識は通じないのです。(1)では会社がつぶれるまでになり、(2)は子のアルバイト先までの反面いやがらせ調査です。



そのお気軽「節税提案」は大丈夫?



「低解約型節税保険」や「節税目的超高額ガン保険」を奨める保険営業マンはこんな税務調査の現実を知っているのでしょうか。

「今の法律や通達では大丈夫です」「今の税制では大丈夫です」なんていう答えしかできないのであれば信じてはいけません。

節税が終わって何年かして経済環境が変わったときに昔の税務調査がはいって課税処分をされ、それに過大な延滞税等が罰金として加わり、そのうわさが取引先に回り、銀行が取引に慎重になり・・・となります。上の(1)はそんな経緯をとりました。税務署は会社を倒産にまで追い込みます。

(1)の映画フィルムファンドを仕組んだのは有名な大手の金融会社であり、公認会計士による「課税上問題ない」という意見書までついていました。でも結果は税務否認され会社は破綻です。もちろん問題になっても大手の金融会社が責任をとってくれることなどありません。支援してくれることもありません。なさけないことに逆に税務署側に余計な資料まで提出していました。

過去にアウトになった節税保険商品はたくさんあります。たとえば年金評価をつかった年金商品。契約したときは節税OKだったのに実行したとき税制改正されていた・・・。また昭和バブルのころは変額年金節税で税務は問題なくても株価下落で多くの資産家が生命保険に入ったことで破産に追い込まれました。

こんなときに保険を販売した「保険営業マン」は「税制改正だからしょうがないですね」「経済環境だからしょうがないですね」との言い訳で終わったはずです。しかし、そんなことで「プロ」といえるのでしょうか。

安全な節税とヤバイ節税とがあります。それがどちらなのか、判断はできているのでしょうか。安全かヤバイか分かっているのでしょうか。

そして税務調査は通常の税務についてのものと、生命保険のような節税仕組み事案に対する調査は明らかに違うのです。節税スキーム提案は後者の厳しい方なのです。

(2)のマンション節税であれば通常の税務調査であれば問題にならなかったものだと思っています。ただそれがスキーム事案として調査されたがゆえに大変なことになったのです。もし取引先への反面調査などあったらどうしますか。

なお私は「するな」と言っているのではありません。するのならその覚悟があるのか、万一の時に予想される損害(税務調査での苦労、追徴額や過少申告加算税延滞税、その仕組みで利益を得られなかったことの損害額、社会的信用等々)を認識できるかです。ただ普通の会社経営者にはその予想される損害が分かりません。その予想される損害を明確に説明されているかです。そして税務調査に立ち会ったことのない人に、税務調査の現場でのリスクが分かるのでしょうか。

ある名義変更節税プランで「名義変更しても保険会社から税務署に支払調書が出ないからバレない…」という説得が保険の営業マンからあったそうです。なんともはや…。恐るべき無責任・無知さ加減です。

税理士は何を見ているか



「節税保険マン」はいつも言います。「そうですか、税理士さんはちゃんとした節税提案をしてくれないのですね。困ったものですね。」といって、これら高額の節税保険を事情を知らない経営者に販売していきます。

税理士は臆病です。予想される損害を無意識に検討してしまいますし、税務調査の現場での調査官との厳しいやり取りまで想像してしまいます。そんな簡単にこんなヤバイ節税保険の提案なんかできるわけありません。

「税務リスクの検討」もできず「税務調査の現場の厳しさ」を知らず「今の税法なら大丈夫、今の通達なら大丈夫」の「節税生命保険マン」だからこそこんな提案を気楽に提案できるのでしょう。

いざ税務調査となったときにその会社や経営者を守るのはその保険マンではありません。税理士です。税務署に行き説明し、税務調査で時には怒鳴りあいます。そこまでしないといけません。気軽な提案などできないのです。

昭和バブル時に変額保険による資産家の相続税対策スキームが昔流行りました。自宅担保で銀行借り入れをして、何億円単位の高額な変額保険に入りました。税務上の問題ではなくバブル経済崩壊により、資産家が自宅売却に追い込まれ、次々に破綻していきました。

私は財産コンサルとして銀行交渉や不動産の任意売却、その後処理等のお手伝いを幾つもしてきましたがが、提案した保険マンが出てきて説明し陳謝したケースには出合いませんでした。

最後は契約する会社と自分自身の責任です。その節税保険マンは大丈夫ですか。

2011.9.



法人税節税より

生命保険業界の税務に対する対応には見ていられないほど恐ろしいものがあります。さて傷害保険特約については損金だという税務通達は存在します。しかし特約ではなく、傷害保険単体についての通達による扱いは定められていません。

「同じようなもの…」と理解して、保険会社側は「損金になりますよ、節税しましょう」と、解約返戻金がたまっていく長期の傷害保険の販売を行いました。保険会社はどの会社もその確認を取っていませんでした。「あの保険会社がやってなら節税に使えるのでしょう…」と、どの保険会社も確認をとらないまま保険の販売を続けたのです。

そして国税庁側は「そんなものを認めたことはない」、として全額損金として販売されてきた保険について4分の1だけを損金に認める扱いとなりました。

「そもそも長期傷害保険の保険料を全額損金算入できるという税務解釈は生保側の思いこみだったという。」 (日本経済新聞2006.10.7.) なんとも情けない話で、思い込みにより多額の保険料の節税保険商品の販売を続けてきたのです。



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