水戸功一の約款研究…目次
「特定の疾病による入院給付を消費者が望んでいる。」として昭和49年11月に発売されたガン保険。
これをもとに特定の疾病入院給付商品の開発に着手、「成人病」(当時の名称をいい、付保した疾患が悪性新生物、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患を対象)特約として開発された商品です。
業界統一商品として開発されたのもではありませんが、給付内容としては、各社各様の創意工夫がみられ、昭和51年6月に商品化となりました。
その頃(昭和50年初期)、新設外国保険会社の保護育成方針が行政当局との絡みなどを理由に、単体とした商品では認められず「ガン」 を包含した「成人病」として開発したのが実情です。
また、「成人病」という言葉の使用についても、医学用語としては明確な定義がな く成人病を対象とする定義を明らかにすると同時に、考えられる「逆選択」防止としてことも含めた目的で、「足きり制度の導入」、「入院給付日額の限度」を設けたのです。
そこで、今回のテーマ「生活習慣病」に付いて考察してみたいと思います。
現在での「生活習慣病」といえば、「がん(上皮内新生物、悪性新生物)、心疾患、高血圧性疾患、糖尿病、脳血管疾患、肝硬変、慢性 腎不全」の7つを指す疾患をいい、平成8年12月、当時の厚生省「公衆衛生審議会」が、これらの病気が発病するまでには、食生活や喫煙 、飲酒など、個人の生活習慣に因子が深く関わっていることとして、「成人病」に変わって習慣に着手した「生活習慣病」という概念を 新たに導入したことが始まりです。
それでは、何時もの如く、各社の約款から条文を抜粋しましたので、一緒に考察してみましょう。
○ ソニー生命「生活習慣病給付金の支払(特約条項より抜粋)」(平成16年11月2日改正) 会社は、被保険者が生活習慣病等以外の原因により入院を開始した場合においても、その入院中に生活習慣病等の治療を開始したときは、その治療を開始した日からその生活習慣病等の治療を終了した日までの入院については、本条の規定を適用します。
○ アクサ生命「生活習慣病入院給付金の支払に関する補則(特約条項より抜粋)」(2005.10) 被保険者が生活習慣病以外の事由による入院中に生活習慣病を併発した場合は、併発後のその入院は生活習慣病による入院とみなし、前条の規定を適用し、生活習慣病入院給付金を支払います。
○ アリコ・ジャパン「生活習慣病入院給付金の支払(主約款より抜粋)」(平成18年4月2日改正) 被保険者が生活習慣病以外の疾病または傷害の治療を目的とする入院中に、生活習慣病を併発し、その生活習慣病の治療を開始したときは、その日から生活習慣病の治療を直接の目的として入院したものとみなします。
○ オリックス生命「給付金の支払(主約款より抜粋)」(平成2006年9月作成) 被保険者が、七大生活習慣病以外の原因により入院を開始し、その入院中に七大生活習慣病(ただし、高血圧性疾患を除く)の治療を開始した場合には、その入院を開始した日から七大生活習慣病の治療を目的として入院したものとみなして本条の規定を適用します。
どうでしょうか? 例えば、生活習慣病以外の原因で入院をしていた場合、その後に生活習慣病を併発したときは、入院の原因が生活習慣病としても対応しているのです。
また、ソニー生命が「その治療を開始した日」から生活習慣病特約の給付対象としているのに対して、オリックス生命では、生活習慣病の併発時期に関わらず、入院開始日に遡り、「その入院を開始した日から七大生活習慣病(ただし、高血圧性疾患を除く)の治療を目的として入院したものとみなして」生活習慣病の給付対象としているところです。
これは、生活習慣病以外の病気で入院をしている最中でも生活習慣病に併発した場合には生活習慣病として給付対象としているところです。
また、逆にソニー生命では、生活習慣病を原因として入院をしていても、その間生活習慣病以外の病気を併発し、入院日数が延長した場合、生活習慣病との因果関係に特に認められてもその延長日数も給付対象としますとしています。
昭和62年以後「生活習慣病」としてもっとも高い数値を示している疾患として、「男性では、胃・十二指腸潰瘍、その他の肝疾患」が上位を占め、「女性では、子宮筋腫、卵巣嚢腫」といった良性腫瘍が占めています。
これらは、平成5年当時、生活習慣病としての糖尿病の入院発生率も著しく高い数値を示していたことから加入時点である程度の自覚症状があったことにも査証することが云えることです。
約款を判読し、パンフレットにはない詳細な支払事由についても把握してこそ、プロたる所以であると思います。
2007.4.作成
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