不払いに遭わないために byPigeon(4)
7274
|
|
|
不払いに遭わないために
保険会社による保険金の不払い問題は業界関係者、消費者など皆様が大いに関心を寄せているかと思います。
当方も業界に携わるものとして責任の一端を感じますし、独自の対策を考えていきたいと思います。
この不払い問題ですが、実態としては案内不足や確認不足という怠慢な側面が強いもので、不親切じゃないかと言う事が問われている部分が大きいです。
例えば不幸にも訃報の連絡を頂戴した場合、死亡保険金の支払は当然行います。ただ、病院に搬送された際の入院給付金の支払をしなかったなどが今回の問題の一つです。また、売りにしていた三大疾病の特約等の特約の支払い漏れも目立ちます。
許されるものではありませんが、これらは確認不足・ミスの側面が強いとも思います。
一方、一番許されない「不払い」は本来支払える保険金を保険会社の決定で支払わないと言う事だと思われます。
実際過去に、この様な悪質な不払いが発覚した保険会社が監督官庁より業務停止命令を受けました。それ程罪深いものだと思います。
さて、前振りが長くなりましたが、不払いの原因を作るのは実は保険会社だけではありません。むしろ後述する内容の方が重要かもしれません。
数日前にとある相談がありました。事故により頚椎捻挫（いわゆるむち打ち症）で３０日程入院したので、某保険会社に入院給付金を請求したが支払われなかったというものです。
その方は２社の保険会社で加入しており、どちらの会社の決定も「支払対象外」と言うものです。
事故に遭い、３０日も入院してたのに支払対象外。これは専門家であればすぐにピンとくる話なのですが、一般の方はなかなか分かりずらいものです。
保険は保険約款に免責事由が規定されておりまして、災害入院給付金の主な免責事由には「腰痛や頚椎捻挫（いわゆるむち打ち症）で他覚症状がないものは原因の如何を問わず支払いません」と規定されている場合があります。
１社は当方でも扱っている会社なのでこの記述があるのは理解していましたし、恐らくもう１社も同じ免責事由が規定されているものと思われます。
他覚症状と言うのは、明らかに何らかの異常を医師が認める症状を言いまして、事故であれば骨が変形したとかずれたとか何かしらの検査で異常が分かる状態です。
むち打ちと言うと大抵整形外科等の医師はレントゲンを撮って骨に異常が無ければ他覚所見なしで自覚症状のみと判断してしまいます。
しかし、現在自覚症状のみで医師が一ヶ月近く入院させる事は考えずらいものです。何かしら多覚症状を認めている事は十分考えられるわけですが、保険会社は診断書の内容で基本的に判断しますので診断書の書き方が不十分と言う事が疑われます。
また、仮に他覚症状を認めていないと言う場合は、一ヶ月も入院する重傷なわけですから、他覚所見を得るに十分な検査をやっていない事も考えられます。単純レントゲンだけでなく、ＭＲＩなどで詳細に検査すれば他覚所見が得られる事も十分考えられます。
今回のケースではきちんと医師へ他覚所見の有無を確認することと、必要な検査を行うことをアドバイスしました。(追加の診断書で支払われる可能性が高まります。)
もう一例挙げてみます。がんの治療の為に入院していた方が脳梗塞を併発してしまいました。この方はがん保険に加入しており、もちろん給付がされていました。
この併発した脳梗塞の治療の緊急性が高まりましたので脳梗塞の治療も始まりました。がん治療の医師と脳梗塞の治療の医師が異なる結果になりましたが、この後の診断書上にがん治療の事が書かれておりません。その結果、がん保険の給付が止まったと言うものです。
がん治療が終わったわけではありませんので、がんの治療を担当していた医師に診断書を書いてもらうことで給付された事例です。
この様に、診断書の書き方や検査不足で「不払い」が生じる事があるので、注意を要するところです。
診断書は諸に個人情報に直結するので、見てはいけない書類になりつつあるのですが、契約者の同意があればもちろんそこは問題ありません。加入者の立場からは、積極的に窓口になっている担当者に診断書を示して確認してもらうのが良いですし、疑問があれば主治医の下に同行してもらうのも良いです。
余談ですが、先程の腰痛や頚椎捻挫については保険会社によって自覚症状を免責にしているかどうか異なります。会社によっては先程の診断書だけで支払われます。
診断書の書き換えの苦労なくスムースに支払う保険会社もありますので、保険料の安い、高いも重要ではありますが、免責事由（支払対象外）が少ない保険を選ぶという観点も必要と思います。（保険約款の免責事由の見比べはかなり簡単です。）
当方も実は追突事故で鞭打ちの経験があるのでつらさはよく分かります。鞭打ちは神経や血管・筋肉などの軟部組織の損傷が主因ですから、その様な組織の損傷がレントゲンに映るわけがありません。簡単に自覚症状で済ます医療機関側にも問題がありますので、腰痛や鞭打ちの他覚所見を得られるように必要な検査をする事を訴えておくのも賢明だと思う次第です。
2007年6月
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
  |
|
この情報は公開情報と独自調査によります。発売元保険会社のパンフレットや約款等によりご確認ください。
|
|
|
by 
