200406 保険事業の収支とアクチュアリーの誕生
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保険事業の収支とアクチュアリーの誕生


前回は生命保険の保険料が計算できたという所まででした。 保険料が計算できると、それに基づいて保険の募集が始まります。加入者をみつけて保険料を払ってもらうということです。

うまく大勢の加入者がみつかり、保険料が集まってきました。中には死亡するケースもあり、何件かは保険金も払いました。このような仕事をこなすために、経費もいろいろかかりました。



◇保険事業の収支の確認


さて、この保険事業は順調に予定通り行っているのでしょうか。どうやったら確認できるでしょう。

保険会社はここで一旦それまでの収支を締めて決算し、うまく利益が出ているか、お金を使い過ぎて赤字になっているか、確認することになります。お金の出入りは全部記録してあるのですぐにわかります。

支払った保険金や経費は受取った保険料の何分の1ですから、お金はたっぷり余っています。良かった良かった。でもこれが全て儲けと考えて良いのでしょうか。

将来歳をとると保険金の支払いが増えてきます。それに備えてあらかじめ多目の保険料を払ってもらっているのですから、お金が余るのは当然です。問題は、いくら余っていれば充分なのか、いくら余っていなければ足りないのかということです。

◇アクチュアリーの誕生

これを計算するのに世界初のアクチュアリーは、何年かの年月をかけて苦労の末計算方法を考え出しました。何しろ世界初の計算です。どうやったら良いか誰も教えてくれません。コンピュータもないし、もちろん電卓もないし、イギリスの話なので日本と違って算盤もないし。全て紙の上の手計算ですから本当に大変だったに違いありません。

アクチュアリーというのはもともと記録係というくらいの意味で、会計士(アカウンタント)などと同じような意味だったのですが、たまたまこのアクチュアリーという職名のついた記録係がこの計算をしたため、以後このような計算をする人を「アクチュアリー」と呼ぶことになりました。 私などの大先輩、アクチュアリーの誕生です。

即ちアクチュアリーというのは、保険会社の収支をとりまとめ、最終的にいくらお金が残ってなければいけないかを計算する係のことです。残っていなければいけない金額より実際に残っている金額が多ければ、保険会社はうまくいっている、儲かっているということになります。実際に残っている金額の方が少ない場合には、いくらお金がたくさん残っていようと会社は赤字、儲かっていないということになります。

◇保険料を逆算してみる

さてそれではその儲かっているか、赤字かの基準となる金額の計算方法です。 保険料を計算した時、予定死亡率・予定利率・予定事業費率(これは始めのうちは使いませんでした)を基に年々の収入と支出を計算し、収入と支出が合うように保険料を決めた、その計算を思い出して下さい。

たとえば40歳の男性が1,000人いたとして、1年後、2年後、3年後に何人死亡して生き残っているのが何人か、予定死亡率を使って計算します。生きている人からは保険料を貰います。その年に死んだ人には保険金を払います。保険料の総額から支払う保険金の総額を差引いた残りは、毎年たまっていきます(積立金)。 そのたまった分に対して金利が稼げるので、その金利を予定利率を使って計算し、それも毎年のたまり(積立金)に加えます。最終的には保険金を全て払い終えたところでたまり(積立金)が0になって、めでたしめでたしということになります。こうなるように保険料を逆算するわけです。

◇1人当たりの「責任準備金」

この計算をすると、1年後、2年後・・・の各年末に生き残っている人の数、その時のたまり(積立金)の額が計算されています。そこでそのたまり(積立金) を生き残っている人数で割ったものが1人あたりの積立金になります。この計算は全て予定利率・予定死亡率を使って行なったので、予定通りに行った場合これだけ残っているはずだということ。それと同時に今後全てが予定通りに行くとすれば、今これだけあればちょうどぴったり足りて全て使い切る額だということになります。その意味でこれを「責任準備金」といいます。

今後の保険金の支払いが、今後入ってくる予定の保険料や利息を上回るその差額です。その差額が今ここにあれば、それと今後入ってくる保険料と利息を合わせて、ちょうど保険金を全部払うことができるということになります。

このように計算した1人あたりの責任準備金を、今度は実際に生き残っている契約者(被保険者)毎に1人1人計算してそれを合計する。その合計値と、実際の収支の結果会社に残っている残金を比較します。1人1人の責任準備金の合計より会社に残っているお金の方が多ければ、その差額分だけ儲かったということですし、会社に残っているお金の方が少なければ、いくらお金が山のように目の前にあっても、その差額分だけ赤字だということになります。

一人二人の責任準備金の計算なら何とか無理矢理力ずくででも計算できますが、これが何百人・何千人になると、計算の仕方も色々工夫しなければなりません。これがアクチュアリーの仕事です。






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