200405 生命保険の基本的な仕組み
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生命保険■独断解説
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生命保険の基本的な仕組み

予定事業費率


さて、前回は予定死亡率と予定利率から保険料が計算される、という話をしました。

生命保険のことに詳しい皆さんは、『あれっ、チョット待ってよ、予定事業費率はどうしたの』と疑問に思われたことと思います。損害保険のほうに詳しい方は、『これって純保険料(純率)のことだよな、付加保険料の事業費(社費)や利益(利潤)はどうなってるんだろう』と思われたかもしれません。
◇予定事業費率はどうして含まれないの?


生命保険が今日のように、予定死亡率と予定利率を使って計算され始めたとき、実は予定事業費という考えはありませんでした。それじゃ、会社の経費はどうするんだというと、たっぷり用意した利差益(予定利率と実際の資産運用利回りとの差から生まれる利ざや)と死差益(予定死亡率と実際の死亡率との差から生まれる利ざや)から事業費をまかなって十分お釣りがある、ということでした。

特別に事業費のために保険料を割増しておかなくても利ざやのうちから事業費がまかなえて利益も出て、事業がちゃんと運営できていれば別に問題ないじゃないか、ということです。

銀行の経営でも、今では手数料収入がかなりのウエイトを占めるようになっていますが、しばらく前までは皆から預金を集め、それを企業に貸し出して商売していました。銀行という商売も経費のかかる商売ですが、そのための付加保険料(というか手数料)などという考え方はありません。預金利率を低く抑え、一方貸出し利率を高くしておけばその差から十分な利ざやが稼げます。その利ざやで経費をまかない、利益を出す、というのが銀行の経営でした。これと同じ様に考えれば、生命保険に予定事業費の考え方がなければならないというわけでもありません。

とはいえ、その後保険種類も多様化し、保有契約の被保険者も増大してくると、できるだけ公平・妥当・適切な保険料を提示するため、予定事業費率を使った保険料計算が次第に一般的になってきました。死差益・利差益がたっぷり出る契約が全体の事業費を負担し、死差益・利差益がたっぷり出ない契約はその分安い保険料になるという不公平をできるだけ解消し、公平な保険料率を全ての契約に適用しようという考え方です。

日本の生命保険の場合、損害保険と違って今でも会社の利益になる予定の付加保険料は保険料計算に組み込まれていません。もしかするとこれが日産生命を始めとするいくつもの生命保険会社の破綻につながっているのかもしれません。

第二次大戦後、日本の生命保険会社のほとんどが「進駐軍」(なんとも古い言葉ですね)に指導されて相互会社組織になってから、どういうわけか相互会社組織の基本理念として保険会社は利益をあげてはいけない、儲かってはいけない、などという誤解が生じました(今でもこれを誤解と思わず、かたくなに信じ込んでいる人も多いと思います)。その結果、保険会社の方も監督官庁も一緒になって生命保険会社が儲からないような仕組みを作って来ました。会社が儲からなければ自己資本の増強もできないわけで、結局バブルがはじけて利益がマイナスになり始めると、それを埋め合わせるバッファーとしての自己資本がほとんどないという状況に、多くの保険会社は初めて直面しました。いくつかの会社はそのまま、なすすべもなく破綻に向かってしまったということです。

◇あるべき生命保険の計算方法とは


まっとうな生命保険の考え方から行けば、予定死亡率と予定利率に加えて、予定事業費率・予定(会社の)利益率・予定契約者配当率を全て加えて保険料を計算し、それに基づいてしっかりと利益を計上し、契約者配当をするというのが、あるべき姿なのでしょう。

将来の年々の収支を計算するにあたり、予定死亡率を使って保険金支払い額を想定し、予定事業費率を使って経費支出を見積もり、予定(会社の)利益率、予定契約者配当率を使って会社の利益、契約者配当の額を計算する。保険期間の全期間を通じてそれら支出項目をちょうどまかなえるように保険料率を決める。その際、年々の収支の差異が積立金として発生するけれど、そこから得られる利息収入を予定利率を使って見積もり、その分保険料を割り引いて計算する。

これが生命保険の保険料率の計算です。

言葉で説明すると複雑そうに見えるかもしれませんが、計算式で表現すればそれほどのことはありません。興味のある方はやってみてください。

チョット長くなってしまいました。今回はこれくらいにして、次回は保険料が決まったあと、次に何をしなければならないか説明しましょう。我々の大先輩である、アクチュアリーという人種がようやく登場してきます。






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