水戸功一の約款研究…目次
生命保険では、保険事故とする傷害の定義を「急激かつ偶然な外来の事故による身体障害」として定めています。
予測もしないことを扱う「生命保険」は、今も消費者に受け入れられる要因がここにあるのかも知れません。その根拠が「約款」を読むことによって伺えるのです。
今回は、「猶予期間中による事故」について取扱いと思います。
猶予期間中に保険の事故が発生した場合、猶予期間中だかと云って、保険契約は、有効に継続としているとして、約款では、所定の給付金を支払い旨として定めています。
保険契約者に猶予期間中であるからと云って「保険事故」が生じた場合、保険料を払い込むことが出来ないであるからとは、大変に酷というもの考えられています。また、長期間のよる保険契約でもあり、時は保険契約者が事情により払込期月内に保険料が払込めない事態が生じることもあると考えました。
これが、猶予期間を設けた趣旨です。
そこで、民法上として、保険契約者が、責任を負う事由として保険料の払込期月内に払い込まなければ、債権不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償および遅滞利息請求することができます。ですが、生命保険会社では、遅滞利息など請求することなく、契約時に定めた保険料相当額を受け入れているのです。
これを「保険料払込義務」として保険契約者は、保険会社の危険負担に対する対価(反対給付)でもあるため、保険契約者が負う保険契約で最も重要な義務としています。保険料の支払義務として、「保険料の払込期間中に払込期月ごとに所定の方法で保険料を払込みこと」としています。保険料支払義務に付いては、商法の規定にはなく、法律上の民法・商法の金銭債務に関する一般原則の適用が挙げられます。ただし、保険契約の特質には適合した規律ではありません。保険料を怠るから保険会社が強制的に取立てることではなく、「猶予期間」を設けています。また、保険料の前提条件は、保険金、給付金の請求要件ですから保険料の扱いとして「自己債務」としての考えがあるようです。では、各保険会社より抜粋して見ましたで、検証してみてください。
○猶予期間中に保険事故が発生した場合 「平成17年5月作成」 損保ジャパンひまわり生命
猶予期間中に保険金または給付金の支払事由が生じた場合、未払保険料を保険金または給付金から差し引きます。尚、免責事由が生じ場合には、猶予期間の満了日の翌日から効力を失い、払込を免除しません。
○猶予期間中に保険事故等と保険料の取扱「2005年4月 改定」 三井住友きらめき生命
猶予期間中に保険金の支払事由が生じた場合には、未払込の保険料を保険金から差し引きます。尚、免責事由が生じ場合には、猶予期間の満了日の日までに払込がない場合、保険料の払込を免除しません。
○猶予期間中に保険事故が発生した場合「平成16年4月作成」ソニー生命 猶予期間中に保険金の支払事由が生じたときは、未払保険料から差引きます。尚、免責事由が生じ場合には、猶予期間満了日の翌日から効力を失い、保険料の払込みを免除しません。
○猶予期間中に支払事由等が発生した場合の保険料の取扱「平成18年5月作成」大同生命
保険料の払込猶予期間中に死亡保険金または高度障害保険金の支払事由が発生した場合には、すでに「払込期月の基準日」の到来した未払込の保険料を当会社の支払うこととなった金額から差し引きます。尚、免責事由が発生した場合には、すでに「払込期月の基準日」の到来した未払込の保険料を払込猶予期間満了の日までに払い込んでください。未払込み保険料が払い込まれなかった場合には、保険料の払込を免除しません。
さて、何時もの如く検証してみましょう。 1.猶予期間の満了日の翌日から効力を失い、払込を免除しません。 2.猶予期間の満了日の日までに払込がない場合、保険料の払込を免除しません。 3.猶予期間満了日の翌日から効力を失い、保険料の払込みを免除しません。 4.払込の保険料を払込猶予期間満了の日までに、未払込み保険料が払い込まれなかった場合には、払込を免除しません。(条文抜粋) 「猶予期間の満了の翌日から」と「猶予期間の満了日の日までに」の2つの解釈として定めております。「自己債権」とした保険料の支払義務を考えた場合、後者での「満了の日までに」が最も適当ではないかと感じます。但し、条文としては、損保ジャパンひまわり生命が分かりやすいと思います。今一度、お浚いを致します。
支払事由が生じた場合には、未払込の保険料を支払い保険金および給付金から差引きます。この場合、未払込保険料より給付金が些少による給付金のことがあるため、条文では「未払込の保険料を猶予期間満了日までに払い込みを要するものとし、その払込がないとき給付金は支払いません」と定めています。
また、払込免除事由の場合には、未払込の保険料を猶予期間満了日までに払い込むことを要するとしております。これは、保険料数理的に払込期月内に保険料が払い込まれるものして保険料率が算定されているからです。
営業の「本領発揮」は、対処できる術を持ち、即答できる知識ではないでしょう。事故の発生に「対処」、「処理」をする場合、場数を踏む以外ありません。営業手法も同様に簡単には構築するなど困難なはずです。
「約款」の条項なども、様々な要因を経て現行の規定として定めています。
これこそ、貴方が必要とする「スタンダード辞書」なのです。
保険契約において、継続性とは、ひとつの「力」と表現出来る資産です。
「認識と信頼」が、抜きに出る「糧」となることを、「約款」を通して感じずにはいられません。
2006.9.
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