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利回りを見る次は、ポートフォリオの利回りについて見ていきます。日本生命、住友生命とも資産別の運用利回りを開示しています。表3のように開示されています。
少し疑問を感じられますか?代表的な市場インデックスと少し乖離がありますね。海外株式と海外債券(公社債)は為替ヘッジが不明ですから比較できないとしても、日本株式は市場インデックスより利回りが低くなっていますし、反対に、日本債券では市場インデックスより利回りが高くなっています。 これには、理由があります。公表されている資産別運用利回りは次のような式で計算されたものです。 分子の損益には、損益計算書に計上される金額が入ります。株式や債券といったもので、普通の有価証券(注1)は、次のようにして損益を計算します。
つまり、有価証券の利益は売却して初めて利益として計上されることになっています。保有している証券が値上がりしただけの場合には、利益として認識されません。これが、市場インデックスの騰落率との乖離を生じさせている原因です。 おそらく、日本株式の場合は、保有しているけど売却していない株式がたくさんあって利回りが低く表示されている、反対に、日本債券の場合には、利息がたくさん入ってきて利益に計上されているけど、債券の価格自体は下落している状態になってるのだと推測できます。 さて、債券の話が出てきましたが、生命保険会社のポートフォリオで特別なのは債券です。各生命保険会社の資料を読んでいると、「責任準備金対応債券」とか「満期保有目的の債券」といったことばがでてきます。これらは、ことばは難しいのですが、簡単にいえば、“時価で評価されていない債券”という意味です。時価で評価されていないので、市場を価格を反映した評価が行われていません。 「ALMの観点から責任準備金対応債券に分類しています」などという説明が付け加えられることが一般的です。この説明を簡単にすると、「保険会社の負債も市場環境により変動するので、資産だけ(時価評価して)変動させると、場合によっては大きな利益ができているように見えたり、損失が出ているように見えるので、そういうことはしません」という意味です。 「そういうこと(時価評価)」をしなければどうするかといえば、簿価で評価します。生命保険会社の資料には、“償却原価”と記載されていますが、運用のことばでいえば、「アキュミュレーション」「アモチゼーション」ということばになります。これらの説明は、図2のとおりです。
取得価格が券面額(償還価格)より低い状態(アンダーパー)で購入した場合はアキュミュレーション、逆の状態(オーバーパー)で購入した場合にはアモチゼーションが適用されることになります。 ただし、こういった会計処理が適用されているのは、「責任準備金対応債券」と「満期保有目的の債券」だけです。「その他の有価証券」に分類されている場合には、時価評価されています。もっとも、時価評価されていても、運用損益に含められないことは前述のとおりです。
結局、ポートフォリオの利回りがどの程度かを直接知ることはできません。ただし、時価を公表しているので、それらの含み益の割合を知ることはできます。「責任準備金対応債券」、「満期保有目的の債券」および「その他の有価証券」について計算して見ると、日本生命で簿価に対する時価の割合は123%、住友生命で107%となります。少しだけ日本生命のほうが含み益が厚いようですね。 さらに、債券については、満期までの期間別の保有金額金額が開示されています。その資料を下に、平均残存期間について、大まかな計算をした結果が表4になっています。日本生命も住友生命も国債の平均残存期間が、社債や地方債の平均残存期間より長くなっています。これは、国債に対する信用度が高いために、より多くの金利リスクを採っているものと推測できます。
ポートフォリオの特性ここまで分析してから、ポートフォリオの組み入れ比率と各社が付け加えている運用コメントを比較してみると、ポートフォリオの特性が見えてきます。表5のようになると思います。
日本株式については、日本生命、住友生命とも銘柄入れ替えを実施したと説明しています。日本市場が成長相場の段階を通り越し、持続的な成長段階に入ったために、成長株からバリュー株へ銘柄をシフトしたものと予想されます。 日本債券については、対応が分かれているようです。日本生命は、信用リスクを採るために事業債やABS(資産担保証券)などのウェイトを引き上げたと述べています。住友生命は、平均残存期間を延ばしたと述べています。そして、そのことは表4からも確認できます。住友生命は、国債、社債において日本生命より平均残存年数を延ばしています。 海外株式については両社とも慎重な立場のようです。不安感の残る米国市場の株式は手控えているといったポジションかもしれません。 海外債券についても、対応が分かれているようです。住友生命は為替リスクについて言及しています。ヘッジコストの増大(内外金利差の拡大)により投資魅力が低下したので投資比率自体は下げたこと、為替についてはヘッジをしていないことがわかります。日本生命は、円高局面に積増を行ったと言及しています。確かに、対前年増加率は、プラスになっています。 個別の資産では少しずつ対応が異なる部分はあるようですが、2006年3月末時点での、一般勘定のポートフォリオの特性は次のようにまとめられると思います。
保険契約者の方が、払い込んだ保険料のうち多くは一般勘定で運用されています。日本の代表的な生命保険会社である、日本生命と住友生命の一般勘定を分析しましたが、合理的なポートフォリオになっていると思われます。 合理的なポートフォリオとは、一定のリスクの範囲内で、リターンを獲得できる可能性のあるポートフォリオのことです。
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