水戸功一の約款研究…目次
保険料の変更…保険料は勝手に変えられる? 【水戸功一の約款研究】
1995年に保険業法が改正施行されました。また保険業法の改正はその後も続いています。
「第三分野についての責任準備金積立ルール」という問題を「約款」を通して幾つか考えてみたいと思います。
現行では「第三分野」についての保険商品全般に付いて、保険業法基本通達(第11条第1項第9号改訂)には、「保険料率その他契約内容の全部又は一部の変更」による項目があります。
これを通して事後検証に関する資料が手元にあるので、これを交えて幾つかの条文と考えてみたいと思います。
「第三分野については終身保障タイプのものが多く、長期間に渡りリスクを負うことがあるためリスクに対応するための支払財源を積立てる義務が生じること」とあります。
これには幾つかの要因があり「高度検診に伴う疾病等に関する早期発見・早期回復が医療行為により可能になること」などが挙げられております。また「特定(糖尿病・がん・心筋梗塞・脳卒中・高血圧等)の疾病によって受療率が上昇することなどの要因も挙げられる」ことにより、給付金の支払事由による顕在化および給付金への依存があるため、現在での保険料率での責任準備金及び危険準備金で賄えるのかと申している訳なのです。
また「リスクの変動が、大きいことなど勘案すると予測困難な不確実要素が孕んでいる」とも結んでおります。
確かに現在の「第三分野」に付いては、各保険会社および損害保険会社よる終身保障タイプの商品が発売・販売されておりますが、その反面、小子高齢化社会による死亡保障のニーズよりも医療、介護といった生存保障への依存が高くなるのは、必達ともいえ、保険会社にとっても予想以上の収益構造が変化が起きているのではないでしょうか。それは利益を挙げるだけではなく、経営を圧迫する要因にもなりかねません。
それでは、各社のがん保険による約款から条文を用意しました。
※約款による目次の名称です
※ 保険料率の変更 アメリカン・ファミリー生命 「2004年4月作成の約款より」 会社は、給付金の支払事由に該当する被保険者の数が予定より著しく増加する場合で特に必要と認めたときには、主務官庁の許可を得て、この保険契約の保険料率を変更することがあります。また、保険料率を変更するときは、将来に向かって保険料を改めます。尚、会社の定める日の直後に到来する年単位の契約応当日の2ヶ月前までに保険契約者にその旨を通知をします。
※保険料率の変更 三井住友きらめき生命 「2005年1月の約款より」 会社は、がん入院給付金の支払事由に該当した被保険者の数の増加がこの保険の計算基礎に影響を及ぼすと認めた場合には、主務官庁の許可を得て、この保険料率を変更することがあります。(1)会社の定めるところにより計算した金額を授受します。 (2)保険料率変更に取り扱いこにとなった日の直後に到来する契約日の年単位の応当日から将来に向かって保険料を改めます。 (3)保険料を変更する場合には、保険料変更日は2ヶ月前までに保険契約者にその旨を通知します。
※保険料の変更 損保ジャパンひまわり生命 「17年4月改定の約款より」 会社は、保険金および給付金の支払事由に該当した被保険者の数の増加がこの契約の計算の基礎に影響を及ぼすと特に認めた場合には、主務官庁の許可を得て、将来に向かってこの保険契約の保険料を変更することがあります。 また、会社の定める日の直後に到来する年単位の契約応当日の2ヶ月前までに書面にて保険契約者に郵送により通知します。
※保険料の変更 アクサ生命 「2001,4改訂の約款より」 会社は、ガン死亡保険金もしくは給付金の支払事由に該当した被保険者の数が増加または入院日数の長期化による給付金の支払額の増加がこの保険の計算の基礎に影響を及ぼすと特に認めた場合には、主務官庁に許可を得て、この契約の保険料を変更することがあります。(1)変更の定めるところにより計算した金額を授受し、許可日から3か月を経過した直後に到来する契約応当日から将来に向かって保険料を改めます。尚、保険料を変更する場合には、保険料変更日の2ヶ月前までに保険契約者にその旨を通知します。
保険料率の変更 ※クレディ・スイス生命 「2005年5月改訂の約款より」 会社は、保険金または、給付金の支払事由に該当した被保険者の数が増加などがこの保険の計算の基礎に影響を及ぼすと特に認めた場合には、主務官庁の許可を得て、この保険の保険料率を変更することがあります。 (1)保険料率を変更するときは、将来に向かってこの保険契約の保険料または契約口数を改めます。尚、会社の定める日の直後に到来する年単位の契約応当日の2ヶ月前までに保険契約者にその旨を通知します。
いかがでしょうか? まとめて見ますと@保険金・給付金の増加、A主務官庁の許可を得ての保険料率の改定、B会社の定める日の直後の契約応当日からの保険料の変更、Cその場合、変更2ヶ月前での通知ということになります。
さて、先程の続きになりますが、では、なぜにこのような時期に検討課題として、第三分野の問題が持ち上がったのでしょうか?要因は、幾つかあると思いますが、一つには第三分野におけるWebサイト、ダイレクトメール、新聞、雑誌広告といった媒体による販売チャネルの存在があり、今後のIT技術の革新による保険募集の多様化があるのかもしれません。当然「危険準備金及び責任準備金の積立てルール」を模索する商品が開発されており、リニューアブルタイプ(再生)対応の商品がそれに当たると思います。
また金利連動型タイプ、給付金請求による保険料率の設定見直しタイプ、解約払戻金がないタイプ、入院給付金による限度額の抑性型タイプ、投薬等の有無による段階的な保険料率タイプなど、将来に対するリスク回避を前提とした商品が続々登場しております。まだまだ「試験的段階を一脱していない」と私は感じています。
2005.10.16.作成
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