生命保険約款の規定は消費者契約法違反で無効ソニー生命

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生命保険約款の規定は消費者契約法違反で無効


pe/e保険約款の規定は消費者契約法違反で無効


 生命保険の契約は原則として保険料支払いが2ケ月ないと失効します。(自動振替が可能であれば自動振替制度により解約返戻金部分から保険料が自動充当されます。)それは保険約款に定められています。

 2007年1月分保険料が猶予期限の2月末までに支払えずに契約が失効しました。2004年にある男性がソニー生命で契約したものです。

 この男性が契約有効を求めて裁判を起こしました。横浜地裁では保険会社が勝ちましたが、9月30日の東京高裁判決では、契約有効と認められました。

 判決は「意に反して契約が終了した場合の契約者の不利益の度合いは極めて大きい」として、「信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する」としました。(朝日新聞2009.10.1.)

 つまり保険約款の規定は消費者契約法違反で、無効だという判決です。

 失効直後の死亡は保険金がでませんし、再契約(失効取り消し)では医師の診査等が必要となります。「2ケ月未払いで自動的に契約が失効」の規定が消費者契約法で無効とされたのです。催告や通知の実際の仕方や、無催告失効の定めが問題なのでしょう。

 さて賃貸住宅の更新料について消費者契約法違反で無効とした8月27日の大阪高裁判決は各紙で大きく伝えられました。朝日新聞は一面トップでした。

 賃貸アパートの更新料は意味のない金額であり、消費者に著しく不利な契約だとして、更新料の定めは無効として支払い済みの更新料は返還しろという判決です。

なぜか報道されない生命保険の判決


 不思議なのは、この不動産の高裁判決は大きくー報道されたのに、生命保険の高裁判決はほとんど報道されないということです。ニュースバリューの違いなのでしょうか。 それとも業界の広告費予算の差で、新聞社が報道を遠慮したのか、あるいは圧力をかけられたのか。

 もっと驚くのは保険のプロ向けの業界紙ですら記事が見当たらないということです。全くと言っていいほど報道されません。ちなみに不動産の業界紙では更新料裁判について、即座にたくさん報道されています。保険営業の現場はまだ知らないのではないでしょうか。

 保険約款は「会社の定めるところにより」の表現が山ほどあります。ここは消費者契約法違反の宝庫かもしれません。

 保険失効無効判決も更新料無効判決と同様に最高裁に上告していくのでしょう。最高裁に判断をク出していただきたいものです。ただし心配があります。最高裁が上告受理あるいは上告棄却をしてくれればいいのですが、最高裁は上告不受理の判断をとても多く行います。

 この上告不受理というものは最高裁としての判断を下さない、という判断です。そもそも最高裁で対応しないということです。そうなれば問題点についての結論が出ないということになります。下級審の各裁判官は最高裁の判断には従いますが、それがなければそれぞれの地裁も高裁の裁判官は自由な判決を下すことができます。

 

さてそもそも消費者契約法とは


 消費者契約法10条は「民法の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と定めています。

 大学に受かって入学金授業料を納付したが、別大学入学で入学辞退。返還に応じない大学に対し、入学金はともかく、授業料は消費者利益を一方的に害すから返還しろとの最高裁判決(2006.11.27.)があります。

 ちなみに賃貸住宅の更新料の大阪高裁判決はどのようなものでしょうか。

 賃借人は更新料が消費者の利益を一方的に害するもので無効だから返還せよと争いました。

 「本件全証拠によっても…(賃借人が)賃料以外に本件物件の使用収益に伴い出捐することととされる本件更新料約定が置かれている目的、公的根拠、性質は明確にされていない。…(賃貸人から見ても)更新料が維持されるべき積極的合理的な根拠を見出すことは困難である。」

 「…更新料を併用することにより…家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されるものでない。」「更新料約条は…一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果がある…」

 更新料は説明つかない金だし、撒き餌のようなものだ。それだから消費者利益を一方的に害しするもので無効だとして、更新料は返還です。

 更新料は地域で違い、東京なら2年で1ケ月分が多く、「東京は裁判の対象となった京都と違い更新料が安いから問題なし」という声もありますが、この判決に従えば金額の多寡でなく、説明つかない金だから無効ということです。

 

不動産業界は即座に動きだしましたが、保険業界は


 日本賃貸住宅管理協会は判決からわずか1月で「実質賃料表示制度」をスタートさせようとしています。入居者募集時に一時金を含めた総額を表示し実質的な賃料負担を明確にします。

 賃貸借期間4年と仮定して、4年間の賃料だけでなく、その間の共益費管理費、敷金の償却額、礼金、そして更新料等すべての総支払額を48ケ月で割った金額を表示しようとしています。全国一律の物差しづくりをはじめるということです。(全国賃貸住宅新聞2009.10.05)

 大阪高裁判決の更新料無効判決を受けての新制度です。消費者に分かりやすい制度となれば争いもなくなります。

 消費者金融業界や割賦販売では「実質年利」表示がなされています。キャシングやローン、クレジット等で金利計算方法や、印紙代や融資手数料等様々な支払い負担額をいれて同じ条件で算出されるのが「実質年率」の表示です。これと同様に比較が容易になります。

 それにくらべて保険業界ではまったく動きがありませんし、専門紙の報道もありません。また今回の判決とは関係ありませんが、「実質年率」のような比較するための消費者に分かりやすい制度はありません。そもそも比較以前の問題で、大手生保は主力商品の保険料情報をネットで公開すらしていません。比較以前の問題です。

 さて更新料についての判決です。

「…更新料を併用することにより…家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されるものでない。」「更新料約条は…一見低い月額賃料額を明示して賃借人を誘引する効果がある…」

 更新型定期付終身保険やアカウント型保険でそのまま読み変えられないでしょうか。書き換えてみました。ちっょと強引ですかね。このまま消費者契約法違反になるとは私も思っていませんが。

 「…更新型とすることにより…保険料を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されるものでない。」「更新型は…一見低い保険料を明示して契約者を誘引する効果がある…」

 なお保険会社の方々は「金融庁のお墨付きをもらったものだし有効に決まっている」とお考えのようです。金融庁が決めれば法的に有効ということはありません。それが今回の判決ではっきりしたはずです。


それぞれ何年も前に書いた原稿ですが、いまだに役に立ちそうです。
生命保険会社の約款…内規はどこまで有効なのか by 管理人

大手生保各社の一部解約の約款比較 by管理人
各保険会社別に微妙に表現を変えています。また本下の判決は更新料ではなく敷金判決です。敷金返還に関連し、自然損耗及び通常損耗ついてはこの考え方ですでに定着しています。
生命保険約款研究
生命保険約款は消費者契約法違反の宝庫ではないでしょうか。

保険料の払込…猶予期間および契約の失効
まさに判決の対象となったソニー生命の約款が取り上げられています。


2009年10月
保険選びネット管理人



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