トピックス 2004年7月から9月
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トピックス 2004年7月から9月
生命保険の新契約は既存契約の金額を下回る
変額個人年金で不動産投資が可能になる
保険の銀行窓口販売で、保険代理店の削減
金利上昇で生命保険の保険料は安くなる
未公開株投資した年金基金…損は年金受給者負担
訳が分からぬ保険会社の懐(ふところ)事情
保険会社での減損会計のグルーピング
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1996年度の個人での生命保険の新契約平均保険金額は1180万円でした。それが2003年度には872万円にまで落ち込みました。26%のダウンです。
そして2003年度の保有契約高(つまり既存契約)の平均保険金額は1054万円です。既存契約よりも新契約が低いのです。ここ10年間はほぼこのような状況です。経済成長期はもちろん逆でした。1975年には新契約491万円で既存契約231万円でした。
問題の多い転換(下取り)契約では、転換により増加した平均保険金は2102万円、転換により減少した(つまり従前の契約)の平均保険金は2411万円。
「比較的直近の大口死亡保障契約が転換されていることを示すとともに、既契約より小口の契約に転換して、保有契約を減ら」しているようです。
(保険情報2004.7.2.号)
アリコジャパンは新しい変額年金を発売しました。変額年金には様々な投資対象としての特別勘定が用意されています。そして契約者がその特別勘定を選択します。新商品の特別勘定には米国のREIT(不動産投資信託)に投資する特別勘定が用意されました。
この変額年金を契約して契約者が運用対象をこの特別勘定だけにすれば、結果的にこの変額年金は米国の不動産により運用されることになります。
日本のREITに投資する特別勘定が設定されることも近いでしよう。銀行窓口で生命保険会社の変額年金を買い、その変額年金の運用対象を日本のREITを対象とすると特別勘定を選びます。これは銀行の窓口で投資不動産を買ったのと同じ効果になります。
(保険毎日新聞2004.7.6.号)
三井住友海上は代理店網を再編します。現在の78000店のうち向こう4年間で28000店(36%)削減します。保険についての銀行窓口販売がすすむという規制緩和が大きな背景です。金融審議会は今年の3月末に、遅くとも3年後には保険の銀行窓販を全面解禁するとしています。銀行で傷害保険や自動車保険の契約ができる時代が目前に迫っています。
(日本経済新聞2004.7.5.)
bird発行人はかつて生命保険の代理店をやっていました。成績不振により削減の対象になり代理店としてクビになりました。そのままだと既存顧客の契約について将来確実に入ってくるはずの手数料までもなくなってしまいます。「ソリャ、ないぜ。」
生命保険会社の「予定利率」問題というと「逆ザヤによる引き下げ」の話題ばかりでした。生命保険会社が破綻しないように既存の保険契約の予定利率を引き下げようとしました。
金利上昇でいよいよ流れが変わります。第一生命は一時払養老保険の予定利率を8月募集分から引き上げました。予定利率が高くなるとは保険料が割安になることを意味します。同じ保険料ならば保険金額が増えます。50歳男性10年満期一時払なら同じ保険料で満期の受取保険金受取額は1割増えます。
予定利率を引上げる目的は金利感応度が高い消費者へ向けたデモンストレーションということ。第一生命でも主力商品の予定利率引上げには慎重です。
(週刊ダイヤモンド・2004.8.14-21号)
損保ジャパンは市場金利に連動して予定利率を上下させる機能をもつ終身医療保険を発売です。金利上昇で予定利率がアップすれば保険料は下がります。
35歳時の現在において60歳払込満了での予定利率1.5%で保険料3860円として、予定利率が3.0%まで上がれば、保険料は2940円にまで下がります。下落率は23.9%になります。金利が上がれば保険料が下がっていくことになります。
(保険情報2004.7.16.号)
米国コネチカット州の州職員向け年金基金は未公開株ファンドに2億ドル投資し1億2000万ドルの損失を被りました。州はファンドの運用元を訴えました。米国でも前例のない民事訴訟です。
投資先の未公開会社が経営陣による企業買収(MBO)をするとうたっていたのに実行されない等を問題視して訴訟に持ち込みました。
同州上級裁判所は、ファンドの契約違反と忠実義務違反は認めたものの、賠償額はゼロと判じます。賠償が認められないのですから実質州側の負けです。
この損失は年金受給者の負担となります。
(日経金融新聞2004.8.16.)
日本でも外債投資に失敗して破綻した共済がありました。また多くの生保破綻はバブル時の投資失敗が大きな原因です。
日本でも未公開株投資ブームです。低金利下で年金資金は投資先を探すのに苦しんでいます。年金資金の運用が自由化されつつあり、日本でも何が起こってもおかしくない状況に向かっています。
変額年金専門の三井住友海上シティ生命は117億円の増資をして増資後資本金283億円になります。
増資の理由は変額年金が売れすぎて資金繰りに窮したことです。一時払100万円の変額年金を銀行に販売してもらうと、3-5万円の販売手数料を保険会社は銀行に払います。契約者からはこの後ずっと手数料を受け取りますが、契約時手数料はありません。保険料は預かり投資金ですので手をつけられません。
つまり年金販売時の保険会社は手数料を銀行に払うだけで持ち出しなのです。保険会社では変額年金が売れれば売れるほど当座の支払いが増えるのです。
仕方がないから親会社からの増資でまかないます。変額年金専業のハートフォード生命も定期的な増資を迫られているようです。
(日経新聞2004.8.27.)
生命保険大手各社は逆ザヤ価格変動リスクに対応するために基金や準備金の積立を進めます。内部留保の拡大を目指しています。困ったことはこれら準備金の積立等は税務上の損金にはなりません。
多額の積立をすれば苦しくなるのですが、赤字決算にはできません。マスコミによりすぐに「危ない保険会社」にされてしまいますから。だから逆ザヤで苦しくても精一杯の利益計上の決算にします。
任意の準備金積立は税務上の損金になりません。(責任準備金は損金です。)課税利益はその積立分が利益に更に上乗せです。
だから法人所得ランキングでは、逆ザヤで苦しいはずの大手生保が上位に並び法人税を払います。
1位トヨタ自動車・3位日本生命・29位第一生命・75位明治安田生命・165位住友生命。
(日経ビジネス2004.8.30)
保険がたくさん売れれば資金繰りが苦しくなり、苦しいから積立するために法人税をたくさん払う。生命保険会社の決算はよく分かりません。
値下がりした資産は値下がり損を計上しなくてはいけません。それが減損会計です。
減損会計の実務のスタートはグルーピングから始まります。対象資産をグループ分けしてグループ単位で減損処理をします。りそなHDでは営業用店舗を基礎として一定の地域単位にします。伊予銀行は営業店グループ単位にします。相模鉄道は物件ごと店舗ごと等の管理会計の区分によるグループです。
さて損保ジャパンは、保険事業等の用に供している不動産等について、保険事業等全体で1つの資産グループにします。
保険事業を1つのグループとみるということは、本社ビルや全国各地の営業所建物をすべてまとめてひとつのグループにして、保険事業全体のキャシュフローが回っていれば、減損処理が不要ということのようです。
保険事業全体を1つのグループと認識して、保険事業全体のキャシュフローで採算が回っているかどうかとするのならば、各保険会社の本社ビルや全国各地の営業所は実質的には減損処理の対象から外れかねません。
もちろん賃貸不動産や不稼動不動産はこれらと切り離し物件ごとに1グループですから、各値下がり額が一定のルールに従い減損処理につながります。
賃貸不動産を現在価値に引きなおすときの割引率は各社大きな差になっています。損保ジャパンは6.0〜9.5%と自ら厳しい数字をだしていますが、北陸電力等は1.8%です。
これでは同じ賃料収益があっても物件の価値として認識する金額は2倍3倍の格差も当たり前となってしまいます。あらためて「時価」とは何なのでしょうか。
減損会計の強制適用(大企業だけです)は2006年3月期です。2004年3月から先陣をきった保険会社は、損保ジャパン一社です。余裕がなければできません。
(リアルエステートマネジメントジャーナル 2004.9月号)
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