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相続税対策に必要なのは「常識」…生命保険での節税策改正?
相続税対策に必要なのは「常識」…生命保険での節税策改正?
バードレポート第321号2000年9月25日
(注)2002年度税制改正までにおいては、相続税法26条の改正は織り込まれていません。
相続税対策の生命保険
生命保険を使った相続対策は大きく分けて二つです。
一つ目は、死亡保険金という現金を期待することです。
この現金により相続税納税資金を確保したり、遺産分割に必要な資金を確保できます。
生命保険の最大のメリットは現金が入ることです。死亡保険金そのものが相続税の課税対象となり相続税が増えるものの相続税の納税資金として家を守り、相続人間の遺産分割の解決資金としての現金が用意できます。
二つ目は相続税の評価減です。
特に本人が高齢で生命保険に加入できない場合が多く使われます。本人ではなくその息子を生命保険に入れます。親が契約者となり息子に保険かけるのです。例えば数年間で掛金1億円を払い込みます。
その後に親が亡くなったとしても保険の対象は息子ですから、死亡保険金はでません。相続財産は保険金ではなく、その生命保険を解約した場合の解約戻り金相当額となります。
解約戻り金が1億円であってもその解約戻り金の相続税評価額は1億円ではありません。
解約戻り金の評価額は相続税法で次のように決まっています。
<払い込まれた保険料総額×70% ― 死亡保険金×2%>
この計算の結果が仮に6000万だとすれば、実際の解約返戻金が1億円だとしても、相続税評価額は6000万円で済むのです。
不動産を使った相続税対策は価格変動その他不動産ゆえのリスクをかかえます。しかし保険なら保険会社が倒産しない限りは面倒なしで、この評価減のメリットを得ることができます。
しかしこのメリットを定める相続税法26条が改正となり、600万円評価でなく実際の解約戻り金1億円の評価となりそうです。納税通信2000年9月15日号が税制改正見込みと伝えました。
改正内容は添付の本レポート1997年9月22日号をご覧下さい。
不動産と生命保険
不動産に比べると、保険の税務、特に相続税は極めて簡単であり、かつ表面的です。
また、不動産の税制は猫の目のように変わり、それが当たり前だと思われています。一方で生命保険についての税制改正はほとんどありません。
そのせいなのか保険業界の方が相続税評価減を使った相続コンサル営業をする場面に立ち会うと危うさと甘さを感じます。
「法律がこうなっているから大丈夫」と説明されますが、法律がそのまま続くという保証はありません。また法律がそうなっていても「本当に故人の行為なのか」という実態が税務調査の場面で厳しく問われます
不動産業界での相続コンサルの方はこのあたりの恐さを経験的によく知っているようです。そして不動産そのものが個別性があり複雑な為か経験がない方でもリスクを考えようとする姿勢が見えます。一方保険業界の方は商品に個別性がない為か対応がマニュアル的で形式的です。
相続税対策で必要な「常識」
相続税対策を考えるときに大切なのは「常識」です。普通に考えてこの評価は低すぎる、と思ったならその評価は「常識外れ」でありリスクを負っています。
何も知らずにリスクを負わされた顧客は悲劇を迎え、顧客にリスクを負わしたコンサルは損害賠償請求の恐怖を味わいます。
「いくら法律とはいえ実際の価値が1億円なのに評価が6000万円というのはおかしくないか」「年寄りが何億円もの生命保険に息子をいれるのはおかしくないか」と自分で判断する習慣が大切です。そうすれば税制改正や税務調査のリスクを顧客に説明でき、コンサル側としても損害賠償リスクを回避できます。
過去の対策はどうなる
相続税はその人が亡くなった時のための法律です。ですから亡くなった時の評価額を定めます。それ以前にどんな不動産対策をしていようとも保険対策をしていようとも、亡くなった時に法律が改正されていればその対策は全て「万事休す」です。
生命保険を使った相続税節税手法はいつまで大丈夫か?
1997年9月22日 バードレポート第177号
解約返戻金の評価
掛金を毎年10万円づつ10年間積み立てて、いま解約すると100万円の解約戻り金がある生命保険(死亡保険金500万円)があったとします。この財産価値はいくらでしょうか。解約すれば100万円戻ってきますから当然100万円です。
しかしその相続税評価額は60万円です。財産価値は100万円でも、評価額は60万円なのです。それは法律(相続税法第26条)で60万円に評価するように定めているからです。
生命保険の解約戻り金の評価額は実際の解約戻り金がいくらかに係わらず、<既払保険料総額×70%−死亡保険金×2%>となります。(例外あり)
貯蓄型節税金融商品
貯蓄型金融資産で相続税節税ができる商品はほぼ皆無です。その中で目立つのがこの生保の解約戻り金の評価です。銀行預金から貯蓄型生命保険にお金を移すだけで相続税節税になってしまいます。生命保険の本来目的は死亡時の保障ですが、この節税保険は解約が前提です。そのため相続税が心配な高齢者でも、子等を被保険者にすることで利用可能となり、親が子に多額の保険をかける方式がとられます。この相続税節税保険で何千万円・何億円を動かしたという話を随分と聞きます。
過去の遺物
現在の保険会社ではオンライン端末で解約戻り金の実額はすぐ分かりますが、数十年前はその額を計算するのは大変でした。そのために解約返り金実額に代わる簡便法としてこの法律が作られたのです。
ちなみに生命保険ではなく損害保険貯蓄商品では解約戻り金実額で評価します。生保のように簡便法の規定がなくとも支障は生じていません。この制度を残す理由は全くなくなっています。この制度は過去の遺物です。
全国各地で数百件の訴訟が行われている変額保険被害のうち何割かはこの制度があるために起こったものです。この制度・法律が被害を増大させたとも言えます。
改正されるのか
すでに廃止されているはずの制度です。なぜ生き残っているのでしょうか。
相続税での財産評価方法のほとんどは国税庁通達で定まっています。通達は国税庁の一存で簡単に改正されます。ところがこの解約戻り金の評価はなぜか通達ではなく法律の定めになっているのです。通達ではなく法律を改正するためには国会通過が必要です。それだから大変なのです。
国税庁は「法改正をしたい」との申し入れを大蔵省に対して毎年行ってきました。申し入れもあり、変額保険被害の原因の一部であっても、大蔵省が改正をしなかったのは簡易保険をもつ郵政省への配慮と生保業界の政治力が大きかったのではないでしょうか。
さて簡易保険が民営化されます。生保業界ともども金融ビッグバンの中に放り込まれます。そうすれば郵政省への配慮は無用になります。保険業界も変るでしょう。
その時はこの法律は改正されるでしょう。改正されれば、既存の契約であってもすべて取り込まれるでしょう。
しばらく安心?それとも?
さて、十数年に渡り毎年続いた国税庁から大蔵省への申し入れが今年に限ってされていないとのことです。(納税通信97.8.11号)それは何を意味するのでしょうか。改正を諦めたのか?それとも、改正の道筋が決まったのか?
確かに現在は実在する法律です。しかし中長期的には改正されて当然の法律です。保険を売る側も保険に加入する側も「改正される可能性が高い」との覚悟が必要です。
2003年度税制改正で廃止になりました。
プロ必見・相続税権利評価廃止へ
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